非暴力の精神
July 17, 2005
テロとの戦い 〜 力と力のぶつかり合い
ロンドンで同時多発テロが起きて、もう2週間以上も経つ。
実行犯が、キングスクロス駅で地下鉄に乗り込もうとする映像が公開された。
報道では、4人は主犯格から騙されて爆発物を運んだ可能性がある、とのこと。
事の真相はわからないが、爆発物をリュックに入れて地下鉄に乗るということは、彼らもテロ行為を認識していただろう。
またある報道では、彼らは生まれも育ちも英国とのこと。
イラク、アフガニスタン、イスラエルなどで、テロ活動を行うイスラム原理主義組織とは、ほど遠い存在のようにも思える。
ただ、彼らの信じている「イスラム」は、「アッラー」を絶対唯一神である。
その教えや信じる道理から外れることは、このロンドン地下鉄テロや9.11のように、攻撃の対象とする。
いま世界は、力と力のぶつかり合いの様相を呈している。
唯一の超大国であるアメリカが存在し、そのアメリカのスタンダードに強烈に反対する勢力が多く存在する。
その代表がイスラムだ。
歴史を紐解くと、やはり米国のご都合主義が、現在の「テロとの戦い」を引き起こしているように思える。
「我々はテロには屈しない」という演説を繰り返す米国大統領と英国首相であるが、そのテロを引き起こしているのは、自分達の過去の行為が一因であるという認識を持っているのだろうか。
ソ連の南方侵攻(アフガン侵攻)を阻止するために、今や目下の敵となっているウサマビィン・ラディンとその組織を支援し、シーア派イスラム原理主義の反米政府が樹立したイランを叩くイラク・フセイン大統領側に加担する。そして、そのイラク・フセインを悪の枢軸とし、大量破壊兵器の存在を大義名分として戦いに挑む。ましてや、その大義名分であった大量破壊兵器は見つからない、という惨状である。
国際関係は非常に難しい。各国の国益が幾重にも絡まっているからである。ましては、そこに信じる道(宗教)も絡んでくると、この上なく厄介である。
果たして、各国・各地域が相互に理解し、争いのない世界が到来するのだろうか。
このままでは、無理であろう。
理解できない相手は腕力(武力)でねじ伏せる、そんな愚行がまかり通っているからだ。
我々の日常の生活でも思い当たる節がある。
家族、友人、会社の同僚など、数多くの知人と接する中で、意見の違う相手を力でねじ伏せた状態で、自分が理想とする社会が長く続くのだろうか。
自分の理想とする状態を永続させるためには、暴力によらない強力なリーダーシップを発揮し、自らも泥まみれになりながら目の前の大きな壁にぶち当たる、ということをしなければならないだろう。
しかし、どうやっても、その大きな壁を乗り越えられないこともある。
お互いの精神の中に、永らくの間に植えつけられた信じる道が違うのだから。
そういう場合は、その壁を残したまま、お互いの違いを認め合う関係を築くことが必要であろう。
決してその壁を壊そうと思ってはならない。
力と力のぶつかり合いは、最後に疲労感だけを残すのみで、生産的で魅力的な社会を生み出さない。
走り出した「テロとの戦い号」という列車は、どこへ行き着くのだろう。
終着駅が見えないまま、走っているようである。


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